【短編集】あなたのおかげで今、わたしは幸せです
「あれだけ美しかったら国民からの人気もバッチリでしょうしねぇ……わたしと違って」

「……もしかして、さっきのこと、根に持ってます?」


 どこかいじけたようなラブの表情に、リアムは思わず笑ってしまう。


「当然ですよ! 好きな人からあんなこと言われて、傷つかない女なんていません」

「好きな人ねぇ」


 どこまで本気なのだろう? リアムは目を細めつつ、ラブの頭をポンと撫でる。


「あなたは――可愛いですよ。神から愛された美貌……とは違うかもしれませんが、俺はすごく可愛いと思います」

「リ、リアム様……」


 ラブは瞳を潤ませながら、リアムの身体にひしっと抱きつく。


「大好きです!」

「はいはい、知ってますよ」


 本当に聖女らしさのかけらもない。けれど、リアムにはとてつもなく可愛く見えた。



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