【短編集】あなたのおかげで今、わたしは幸せです
「な、なんだこれは? ハチ? どうしてこんなところに?」
「いたっ! いやよ、やめて! こっちにこないで!」
ハチたちはふたりに狙いを定めると、勢いよく攻撃をはじめる。
「まあ大変! 早く逃げてください! 出口はこちらですよ!」
気づけば隣でラブがそう叫んでいた。ステラの両親は悪態をつきながら、急いで神殿の出口へと向かう。その際、ふたりそろって神殿の壁に小指をぶつけ、痛い痛いと泣きわめいていた。
「まったく、世の中には困った人もいたもんですね」
ラブがそう言う。ステラは顔を真っ赤に染め、急いでその場から立ち去ってしまった。あとにはリアムと彼女の騎士であるラウルだけ。ラウルは小さくため息をついた。
「先程はありがとうございました、ラブ様」
「え? なんのことでしょう? わたしはなにもしてませんけど?」
目を左右に泳がせながら、ラブはぎこちない笑みを浮かべる。ラウルは少しだけ目を細めると、静かに頭をさげた。
「ステラ様が聖女にこだわるのはご両親のためなのです」
「でしょうね! なんなんでしょう、あのふたり? 子どものものは親のものだなんて、馬鹿言うんじゃねぇって感じです」
ラブはそう言ってぷりぷりと頬を膨らませている。ラウルはステラの両親がいなくなった方角をぼんやり見つめた。
「いたっ! いやよ、やめて! こっちにこないで!」
ハチたちはふたりに狙いを定めると、勢いよく攻撃をはじめる。
「まあ大変! 早く逃げてください! 出口はこちらですよ!」
気づけば隣でラブがそう叫んでいた。ステラの両親は悪態をつきながら、急いで神殿の出口へと向かう。その際、ふたりそろって神殿の壁に小指をぶつけ、痛い痛いと泣きわめいていた。
「まったく、世の中には困った人もいたもんですね」
ラブがそう言う。ステラは顔を真っ赤に染め、急いでその場から立ち去ってしまった。あとにはリアムと彼女の騎士であるラウルだけ。ラウルは小さくため息をついた。
「先程はありがとうございました、ラブ様」
「え? なんのことでしょう? わたしはなにもしてませんけど?」
目を左右に泳がせながら、ラブはぎこちない笑みを浮かべる。ラウルは少しだけ目を細めると、静かに頭をさげた。
「ステラ様が聖女にこだわるのはご両親のためなのです」
「でしょうね! なんなんでしょう、あのふたり? 子どものものは親のものだなんて、馬鹿言うんじゃねぇって感じです」
ラブはそう言ってぷりぷりと頬を膨らませている。ラウルはステラの両親がいなくなった方角をぼんやり見つめた。