泡沫の恋
────社会人になってから4年後の現在。

金曜日いつもの居酒屋のカウンター席に座って、お酒を嗜む。

ご夫婦と息子さんがたまに手伝って回している居酒屋なんだけど雰囲気が良くて料理もお酒も美味しい。


「あ、星羅ちゃん。いらっしゃい」


そこの息子さんの、拓也さん。


「こんばんわ！今帰ってきたんですか？」

「そう、今日は俺もここでご飯食べようかな。」


そう言いながら仕事帰りの拓也さんがスーツのネクタイを緩めながら隣に座る。

普通に働いて家のお手伝いまでするんだから本当に尊敬する。

時々こうやって並んでご飯を食べるのは珍しくない。


「星羅ちゃんも仕事終わりそのまま来たの？」

「そうなんです。金曜日はノー残業デーなので」

「そっか、お疲れ様。」


なんて労わり合いながら話すこの状況は落ち着く。

拓也さんは私よりも3つ位上の方だ。

恋人はいないらしく、よく両親に「星羅ちゃんの事捕まえときなさい！」なんて言われてるのを耳にする。

拓也さんはすごく気まずそうだけど。
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