泡沫の恋
「まっ、て!」

「待てねぇって。こんな余裕無いのだせぇけど、無理。」


そう言いながら首筋にキスを落とすと舐めてきたかと思えば、今度は甘噛みされる。

シャワーもまだだし、外にも出ているので決して綺麗とは言えない。

そんな状態なのに、朔夜は止まってくれそうにもない。

こんなソファーの上で、押し倒されて服は一気に捲られる。


「…連れていけなくてごめんな、あの日」


そんな切ない声で言うから、泣きそうになる。

私の額の髪を軽く避けると口付けて、それから目元、唇に優しく口付けてくる。


「…もう、離さないで。絶対、ずっと一緒に居て。」

「…お前こそ、ちゃんと重く愛される準備、出来てんの?」

「望むところだから。」

「…本当、気強ぇ女」


そう言って笑うと、大事に大事に触れられる。

壊れ物を扱う様に。

私も今度は置いて行かれない様にこの手を離さないでいるから。

この壊れそうですぐに消えちゃいそうな恋を絶対壊さないで大事に。





End.
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