泡沫の恋
「朔夜は、後悔とか無いの。」


部屋に居るのに話さないのもと思って声を掛けると「何でそのキモい質問」と鼻で笑っている。

本当失礼こいつ。


「この裏社会に足突っ込んだこと。」

「ねぇよ。俺は拾われて後がなかったし、恩返すしかなかったし。」

「そう」


何でうちのお父さんに拾われたかとか聞くのは野暮だ。そんな事話したがらないのも分かってる。

朔夜あまり自分の話をするのが好きじゃない。それが分かっているから聞かない。

そう言えば、前までよく女遊びをするために飲みに行ったりクラブに行ったり、賭け事も好きだからギャンブル行くって周り話してたな。

最近私の護衛のせいで行けてないんだろうな。と私が気にしても無駄なことを机と向き合いながら考える。

朔夜と2人でいるのは気まずいとかはないけど、もう高校生と中学生の時のような私の癒やしだった時間はなくて少し寂しい気もする。

あの時間は、私が普通の男の子に恋出来た貴重な時間だったから。今はもうそんな時間は2度と訪れない。
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