泡沫の恋
どうにか脱出できないかと辺りを見渡す。脱出出来そうな場所は1つしか無い。

ドア以外の出れそうな場所はなくてきっと鍵も締まってる。

手足は縛られている上に、声も出せない状況に大人しく待つしかないのかも。

私を攫った奴らはきっともう今頃組と連絡を取っているはずなので、状況は伝わってるのかな。

状況を理解できても、何も出来ない事に焦りを覚える。

打つ手無しの状況に体力を消耗するだけなので大人しく待つ。今、何時なんだろう。




𓂃𓈒𓂂𓏸





どのくらい時間が経ったかそれすらもわからない状況でドアが開く。もちろん相手は何も知らない男の顔。

私に何も起きてないか見に来たのか、男が私を見下ろしてくる。私は睨みつけるでもなくふいと顔を逸らして刺激しない様に過ごす。


「こちらは問題なし、女も大人しくしてます。」


上に報告しているのかそれだけ言うとまた部屋から出て、鍵を締めて足音は遠のいていく。

こんだけ迷惑かけても、私は心の中で朔夜の名前を呼んで縋ってしまう。


─────────助けて、朔夜…!
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