泡沫の恋
「そろそろ俺らの事も考えなあかんのちゃうかなって。この縁談に恋だのなんだのは要らんくても、出来るだけお互いに好きと思って結婚したいなあって思うねんけど」


そう言いながら戸惑う私の顔を覗き込んで言ってくる樂さん。

デートなんて経験した事もない。

それに私はこのままでも良かったから、考えた事も無かった。


「あ、の。私デートとかした事なくて。」

「俺にリードさせてくれたらええよ。数少ない格好付けれるチャンスやん?俺に任せて」


そう言って柔らかく笑ってくれる樂さん。

そう言われるがままデートが決定してしまった。




𓂃𓈒𓂂𓏸





かと言え私には可愛い服も何も無いし、メイクのセンスもない。

数日後のデート、どうしたもんかと夜部屋で悶々と考えていた。

うちには男の人しかいないから相談できる人もいないし、かと言え私のセンスで行くのも気が引ける。

誰に相談…。

そうなったら私が思い浮かんだのは1人しか居なかった。
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