泡沫の恋
お昼、その辺のカフェに入って一緒にランチをすることになった。

朔夜と向かい合って座る。

この人と2人でご飯なんて変な感じ。

私がご飯食べてる時間朔夜はいつも何してんだか分かんないし、2人で並んでご飯を食べることは滅多に無い。

目の前で足を組みながら頬杖をついて窓の外を眺める姿は悔しいけど様になっている。

そりゃ普段から女遊び出来るわけだなと納得。


「何人の顔じろじろ見てんだよ。」

「性格さえ良ければな~」

「あ?ぶっ飛ばすぞ」


こういうところ。

話せば何でモテるか本当わからないクソ男。


「てか性格良かったらこの世界やっていけねぇよ」

「それはそう。というか、結婚した後の私達どうなっちゃうのかな」


そう問いかけると朔夜は顔を顰めている。

そりゃ俺に知る訳ないだと思う。

きっと新城組は、朔夜が跡を継ぐのかな。

お父さんは朔夜を可愛がって、実力も認めてるし。


「決まってるか、朔夜が残らないと誰があそこ見るか分からないもんね。」


ふと笑ってそう言って朔夜から視線を逸らす。

ていうことは私と朔夜は自動的に疎遠になっていくんだと思う。

そうなったら私の事を守ってくれる人は朔夜以外の誰かになるんだろうけど、少し嫌だなって思ってしまった。

朔夜が護衛に着く前の事を思い出して、またあんな風にいつか投げ出されるのかもしれないななんて。
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