泡沫の恋
「何、そのくだらない湿っぽい話。帰ってきたらいいだろ。あの家は結婚しても一生お前の家なんだから」


朔夜らしくない発言に少し吃驚した。

優しい優しくないの前に、こういう世界では1度違う組に嫁いだら簡単に敷居を跨いではいけないと思っていたから。

朔夜もそれは理解しているはず。


「…帰ってきても良いのかな」

「さあ、お前の旦那次第じゃん?」

「まだ旦那じゃないし」

「細けぇ」


樂さんとの縁談は自分でそうするって決めたはずなのに、今のこの居場所が心地良過ぎて離れたくないななんて思っちゃったの。

私が全て悪いのは理解してるけど。

それでも朔夜にはずっと私の傍で守ってくれていたらいいのにって思ってしまう。
< 67 / 117 >

この作品をシェア

pagetop