泡沫の恋
「…この部屋から出てお前は右に行って俺は左に行くから」

「何で?一緒に行こうよ!」

「いいから。片付けなくちゃならないこともあるし。」


そう言うと腕を引いて出て右側に私の背中を押す。

朔夜はそのまま背を向けると左側に向かって歩いた。

私の方は見ずにそのまま歩み続ける。


「朔夜!」

「馬鹿、でけぇ声出すな。早く行け。見つかったら意味ないだろが」


それだけ言うとまた同じ道を歩いて、曲がり角で曲がるだけ。

絶対、絶対無事に戻ってきて。

勝手に死んだりなんかしたら私絶対許さない。

朔夜の言う通り右の道をずっと歩いて、私でも出られそうな窓から出て外に走り出す。

その間、何人か男の人が倒れていて、私は難なく外には出られた。

外に出られたら何とかなるようにしてるから、の朔夜の言葉の意図は出て数十分後に分かる事になる。
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