泡沫の恋
確信
朔夜は病院に運ばれた。

今は病院のベッドの上で呼吸器を付けて変わらずに綺麗な顔で眠っているのに目を覚ましてくれない。

私はずっと朔夜の手を繋いでいた。

頭を強打しているので何かしらの障害が出ていてもおかしくないと言われていた。

どうやらパイプで思いっきり頭を殴られたらしい。

こんなに大人しい朔夜見た事無い。

朔夜の手を繋いでいると病室にお父さんが入ってくる。


「…星羅、すまなかったね。危険な目に合わせた」

「…私に謝られても。私は朔夜のお陰で無事だったから。」


それだけ返してお父さんから目を逸らして朔夜の顔を見つめる。

私はあの後少し走って逃げたら警察の方が待機してくれていた。

その後、一緒にパトカーに乗って朔夜の元へ向かったら、朔夜は倉庫で倒れていた。

命がけで守ってなんて貰えなくてよかった。

ただ無事で、私の傍に居てほしかったの。

それなのに次に会えた時がこんな姿なんて聞いてないよ、朔夜。

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