泡沫の恋
「…勘違いなんかじゃ、無い。」

「お前ね…。」

「そんなの朔夜に否定する権利ある?」


そう言うと、朔夜は少しだけ驚いた顔をして「ねぇな」と笑った。

今はまだ勘違いだとかそんな風に否定されたくない。

護衛係としてでも良いから、私の好きって気持ちを知っても傍に居て。

受け止めてもらえなくてももうこの気持ちを無かった事には出来ない。


「…星羅、俺はお前の気持ちには応えられない。もし、応えられたとしてもお前が望んでた普通とは程遠くなる。それ、ちゃんとわかってんの。」

「朔夜が居てくれるなら普通なんていらない。」


私のまっすぐな答えに溜息を吐いて「あ、そ」と言いながらその場を立ち上がる。

そしてそれから何も言わず部屋を出て行った。

朔夜からしたら私の気持ちは迷惑だったのかもしれない。
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