ぼたん先輩の学校生活裏技おとぼけ集

プロローグ

「はあ、なんて美しい人なんだろう」

 私、針仙さくらはある美しい先輩の姿をその目にし、思わず息をのむ。

立てば芍薬座れば牡丹歩く姿は百合の花なんて言葉の通りで、美しい姿勢で本を読んでいるのが音揚ぼたん先輩。通称、図書館の女神。私はこの女神様に心を奪われてしまって、今日の放課後もこうして先輩のお姿を眺めに来てしまっている。

 私は今まであらゆるものに感動することなく退屈に満ち満ちた人生を送ってきたのだけど、中学校の入学式、在校生のあいさつでの先輩のたった一言「良い学校生活を送ってくださいね」には、強く心が揺さぶられたんだ。こんな気持ちは初めてのこと。

 だから、この人とお友達になりたいって大それた願いを私は抱いたの。ただ、今まで一人も友達がいなかった私にはそもそもどうやって話しかけたらいいのか分からなくて、その美しいお姿を眺めることしかできなかった。

 だれか、先輩に話しかけてくれないだろうか。一週間という時間、先輩を眺めるだけで終わった私は思う。先輩が興味のあるものがわかれば、私もそれについて勉強して先輩とお話しするのになぁ。

 どたどたどたっとした、図書館には相応しくない足音が聞こえる。ある意味その足音の主のおかげで、私は先輩と話すことができて、そして学校生活の裏技を追い求め続けるぼたん先輩のおとぼけっぷりに驚く生活が始まるのだった……
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