脳内大クリスマス大会'07
そこはどこか懐かしく

机が二つ並び

ベッドが二つ並び

同じぬいぐるみが二つずつ

部屋一杯に敷き詰められていたわ

驚いて硬直しているはずのあたしの耳に

なぜかあたしの声が聞こえてくるの

「やっと出てきたのね姉さん」

「これでかくれんぼはもう終わりね」

あたしは振り返られなかった

今まで使われていなかった細胞の一つ一つに

びりびりと電流が走ったわ

思わず息が止まりそうだった

目の前にある鏡に映る

脳内のあたしの理想像とやせ細ったもう一人の醜いあたし・・・

真っ白な肌と骨ばった顔・・・

真っ赤に充血した眼と小刻みに震える体はまるで

籠の中で飼われ続けた子兎の様だったわ

鏡の奥であたしを凝視し続ける醜い子兎を

可愛いあたしがそっと後ろから抱き締めた

「姉さんったら可愛いわ・・・」

「ずっとコタツの中に隠れて・・・ふふっ・・・」

「あの約束を忘れなかったのね・・・」

あの約束・・・

あたしはぎょろぎょろと眼球だけを動かし

必死に部屋の中にあるアレを探した

あった・・・うさぎさんの人形・・・

両親が一つだけしか買ってくれなかった

うさぎさんの人形・・・

あたしはぼろぼろと涙を流し

部屋から出て行こうと走ったわ

お父さん!お母さん!!あたしここに居るよ!!!
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