脳内大クリスマス大会'07
いくつもの鍵が掛けられたドアを叩き叫ぶあたし

その後ろから悪魔のような囁きを呟くもう一人のあたし

「姉さん・・・私は死んだ事になってるの」

「10年前かくれんぼをしている時に行方不明って事でね・・・」

「そして今、私が姉さんだと思われているわ・・・ふふふっ・・・」

「だっておかしいと思わない?」

「一つの同じ細胞が分裂して全てが同じはずの私達なのに」

「少し先に産まれただけであなたが姉で私が妹って・・・」

「何をするにもまず姉さん・・・そして私・・・」

「同じ事、同じ物を与えられてはいるけど」

「全て先に渡されるのは姉さん・・・」

「ふふっ・・・あはははっ!」

「だから私思いついたの」

「姉さん馬鹿だからずっとかくれんぼしてるんじゃないかって・・・」

「だって初めて私達双子に二つ与えられなかった物ですもの・・・」

「ふふふふっ・・・もう姉さんはこの世に存在しないのよ・・・」

「この世に存在していいのは私だけ・・・」

「同じ人間が二人なんて・・・可笑しいじゃない・・・?」

あたしはドアに頭を擦りつけ倒れこんだわ

全て忘れていた・・・知っていたはずなのに・・・

10年経つ間にあたしは

自分の記憶を自分の都合のいいように書き換え

そして双子の妹を

脳内の理想像として自分とダブらせていた・・・

普通に暮らしていたら・・・可愛く健康的な・・・

今あたしを見下ろしているあいつに・・・!!!

あたしはあいつに掴みかかったわ

でも・・・非力なあたしじゃ・・・

あたしを抱き締めあいつは耳元で呟いたわ

「姉さん・・・ふふっ・・・」

「今まで通りでいいじゃない・・・?」

「姉さんは私の着せ替え人形よ・・・」

「だって姉さんは姉さんですもの・・・」

「私の憧れの・・・大好きな姉さん・・・」
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