はわわって言えばなんとかなると思ってた~拗らせ次期宰相からの執愛はウザい!~
 はわわサービスをしながら一応礼を口にはしたが、はたしてアレがちゃんとしたお礼になっているのだろうか。はわわを永遠と不発にさせてきたリチャードにどこまで感謝の気持ちが伝わったのかと思うと、正直足りないような気がしたのだ。

 こういうのは後回しにするのはよくない。タイミングというのは一度逃すとなかなか次の機会が訪れないものだから。
「そういえば昔、同じことを誰かに言ったような……」
 ふとそんなことが頭に過るが、今はそれよりこの任務をさっさと終わらせるべきだろう。
 花嫁修業という形で侯爵家へと来たため、部屋は別だがリチャードとは隣同士の部屋であり、しかも扉一枚で繋がっている。鍵は私の部屋からしかかけられないようになっており毎晩しっかり施錠確認をして寝ているが、今日は扉の鍵を開けてノックした。時間が遅いので控えめに叩くが、いつまでたっても返事はない。
 寝ているのかと耳をそばだてるが、そもそも人の気配がしないことに気付きそっと扉を開けてみる。
「え。この部屋使われてないの?」
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