はわわって言えばなんとかなると思ってた~拗らせ次期宰相からの執愛はウザい!~

6.飄々とした、その下の本音

(くっそぅ、もっとすごいことをしたっていうのに)
 その夜からなんとなく気恥ずかしさを覚えるようになってしまった私は、そもそも最初は彼を酔わせて乗ったのだということ含め頭を抱える。
「すべてが想定外よ。はわわって言えばなんとかなると思っていたのに」
 今の現状は「はわわ」じゃ絶対解決しない。そもそもリチャードにはわわは効かないし、それにこの感情は……
「トレイシー?」
「なっ、何!?」
 家庭教師に出された宿題に顔を突っ伏していると、突然部屋の扉がノックされて慌てて顔をあげる。しまった、昨日の口づけに動揺してまだ半分しか終わってない、と慌てていると大きな箱を抱えたリチャードが部屋へと入ってきた。

「何よそれ」
「手配していたドレスが届いたんだ、見てくれるかな」
「ドレス?」
 何故ドレス、と首を傾げながらリチャードの元へと行くと、箱の中身はリチャードの髪色を思わせるラピスラズリのような深い青色の少しタイトなマーメイドラインの大人っぽいドレスだった。
(私の童顔には合わないような気がするんだけど)
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