はわわって言えばなんとかなると思ってた~拗らせ次期宰相からの執愛はウザい!~
 いつもあえて大振りのフリルを採用した――とは言っても、ぶっちゃけ家計事情で子供の時に買ったその一着しか持っていなかったドレスを無理矢理に着ていた私。身長はあまり伸びなかったし、胸は成長したがそれは逆に窮屈に見える方がばいんばいんと巨乳をアピールできてむしろ良かったのだが、こうやって改めて今の体型に合わせたドレスを身に纏うと心配していたよりも似合っている気がした。
 いつも高めのツインテールにしていた髪をおろして緩く巻き、唇は可愛らしさを強調したピンクではなく少しダークな赤で彩る。それしかいつもとは変えていないはずなのに、この大人っぽいドレスに見合う大人の女性になったようでくすぐったい。
(それに、リチャードだって)
 彼にお酒を無理矢理飲ませて既成事実を作ったあの夜の野暮ったい見た目ではなく、今は前髪をセットしそのフローライトのような神秘的な青紫の瞳を隠すことなく見せつけていた。
「凄く視線を感じるけど」
「きっ、気のせいじゃない!?」
「そう? 俺の願望だったのかな」
「――ッ!」
 さらりと付け加えられるその一言に頬が一気に熱くなる。
(そういうとこよ本当にアンタはっ!)
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