はわわって言えばなんとかなると思ってた~拗らせ次期宰相からの執愛はウザい!~

7.教えて欲しいなら

 そうこうしているうちに着いた王城。リチャードのエスコートで会場に入ると、一瞬でざわついた会場が静まり返った。
(いつもとは違う私の装いかしら、髪をあげたリチャードの方かもしれないわね。それとも私たちふたり一緒に来たことかも)
 むしろそれら全部かもしれないと思いつつ、王太子ご夫妻へと挨拶を済ませる。その間もぶしつけな視線はずっと感じていたが気にしないフリをした。我ながらかなりのスパルタを乗り越えたお陰でなかなか上品に挨拶できたとホクホクした気持ちになっていると、挨拶を終えたばかりの王太子からの視線を感じる。その視線は私に対するぶしつけなものというより含みを持たせたもので、すぐにリチャードと何か大事な話がしたいのだと理解した私は、これまた侯爵家で叩きこまれた完璧なカーテシーでその場を離れた。までは、よかったのだが。

「お久しぶりね、トレイシー嬢」
 そう声をかけてきたのは複数人の令嬢たちだった。
(私、令嬢からは嫌われてるのよね)
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