はわわって言えばなんとかなると思ってた~拗らせ次期宰相からの執愛はウザい!~
 必殺技であり最強の魔法の呪文である「はわわ」は令息に効果は発揮するが令嬢への効き目はかなり薄く、むしろ令息から「はわわ」でチヤホヤされるせいでむしろ逆効果説すらある。もちろん家のために普段から少しでもいい令息を掴まえるべく効果的に「はわわ」を使ってきたが、彼女たちからの反感を理解し令嬢たちの前ではあまり乱用しないように気をつけていたのだが、先日の親の蒸発というイレギュラーのせいでなりふり構っている余裕なく乱発したため思ったよりも不興を買っていたのだろう。
 気付けば私の姿を隠すように取り囲まれてしまった。これでは背の低い私は完全に隠れてしまっているはず。
 はぁ、とバレないように小さくため息を吐いた私は、どんな嫌味を言われるのかしら、なんて考えながらにこりと微笑んだ。

「素敵なドレスね」
「いつものあのドレスとは違うドレスだったから驚きましたのよ」
「うふふ、そうね。いつも同じドレスだったから相当お気に入りのドレスなのだと思ってましたけれど」
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