はわわって言えばなんとかなると思ってた~拗らせ次期宰相からの執愛はウザい!~

8.あの夜の真実

 私に飲まされ簡単に酩酊したくせに、格好つけているつもりなのかそのまま一息で飲み干したリチャードが空になったボトルをテーブルに置く。その光景に青ざめそうになりつつもなんとか笑顔を保った私は、彼の腕にしな垂れかかるようにしがみつき、甘えるフリをしてそのまま会場を出る。
 優雅に見えるように最新の注意を払いつつ、少しでも早く休めるところへと足を進めたその先は、偶然にも私と彼が一夜を共にした休憩室だった。

 バタンと扉を閉めてすぐ彼の唇に向け指を伸ばす。
「うん? あの夜みたいに誘ってくれ――ぐえっ」
「バカ言ってないで吐きなさい!」
 そしてそのまま喉の奥まで指を突っ込んだところで慌てたリチャードに手首を掴まれた。
「ちょっと、お酒に弱い人が沢山アルコールを取ったらどうなるか知ってるの!?」
「散々飲ました本人が言うことじゃないと思うけど」
(それはそう!)
 冷静な指摘に思わず頷きつつも、体調や気分が悪くなるだけでは済まない可能性だってあるのだ。早急に彼の体内からアルコールを排除しようと再び吐かせようと狙いを定めていると、思い切り抱き上げられる。
「ちょ、ちょっと!」
「どうかしたかな」
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