はわわって言えばなんとかなると思ってた~拗らせ次期宰相からの執愛はウザい!~
「タイミングは一度逃すと次の機会はもうないかもしれないからね」
ぽつりと告げられるその言葉にドキリとする。
「忘れちゃった?」
少し寂しそうに笑うリチャードのその一言で引き出されるのは遠い昔の出来事。私が初めて王城へと来た時のことだった。
(あれはまだ家がなんとか回っていたころ、一度だけ父に連れられ王城へときたんだったわ)
それは王太子殿下の婚約者の選定会だった。殿下と年齢の近い令嬢は誰でも参加出来たがその時の私も権力には興味は無かったし、そもそも身分差だって理解していた。父は「はわわ」で落としてこいと言っていたけれど、分不相応な望みを持つべきではないとも思った。それに正直に言って私には荷が重いと感じていたのだ。
だからこっそり会場を抜け出し、美しい庭園の方へと向かったのだ。
「そう……よ、私、そこでひとりの男の子と出会ったわ」
ひとり言のようにそう口にすると、リチャードの瞳が嬉しそうに細められる。
『戻らないの』そう聞かれたあの時の私は、『タイミングというのは一度逃すとなかなか次の機会が訪れないものなのよ』と返事をしたのだ。
ぽつりと告げられるその言葉にドキリとする。
「忘れちゃった?」
少し寂しそうに笑うリチャードのその一言で引き出されるのは遠い昔の出来事。私が初めて王城へと来た時のことだった。
(あれはまだ家がなんとか回っていたころ、一度だけ父に連れられ王城へときたんだったわ)
それは王太子殿下の婚約者の選定会だった。殿下と年齢の近い令嬢は誰でも参加出来たがその時の私も権力には興味は無かったし、そもそも身分差だって理解していた。父は「はわわ」で落としてこいと言っていたけれど、分不相応な望みを持つべきではないとも思った。それに正直に言って私には荷が重いと感じていたのだ。
だからこっそり会場を抜け出し、美しい庭園の方へと向かったのだ。
「そう……よ、私、そこでひとりの男の子と出会ったわ」
ひとり言のようにそう口にすると、リチャードの瞳が嬉しそうに細められる。
『戻らないの』そう聞かれたあの時の私は、『タイミングというのは一度逃すとなかなか次の機会が訪れないものなのよ』と返事をしたのだ。