はわわって言えばなんとかなると思ってた~拗らせ次期宰相からの執愛はウザい!~
 公爵家に最近不穏な噂は聞かなかったはずだが、この不安要素は見逃せない。今の私の背中には男爵家で雇われている使用人たちの明日がかかっているのだから。

 私は公爵家次男へと早々に見切りをつけて一歩彼から離れる。
「わざとじゃなかったんですぅ、はわわ、失礼しまぁっす」
 自分的にはヘラヘラだが、周りからはおっちょこちょいな令嬢が恥ずかしそうにはにかんで見えるような笑顔を貼り付けそのまま彼らの元を離れる。
 伯爵家、公爵家、更に王太子と高位貴族の集まる一角にたかが男爵家の令嬢が割り込み無礼を働いたとなれば罪に問われかねない暴挙であるが、「はわわ」があれば問題がない。この必殺「はわわ」を武器にした美少女には誰も抗えず、身分なんて関係がなくなるのだ。それほどまでに恐ろしい「はわわ」を使いこなす私は最早魔女と言っても過言ではないかもしれない。
 まぁ、実状は明日食べるものも買えない借金令嬢なのだが。
(まぁでも「はわわ」だけでなんとかなってるしこれでいいのよ!)
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