はわわって言えばなんとかなると思ってた~拗らせ次期宰相からの執愛はウザい!~

10.重ねる想い

(あの夜私にぶつかったのはわざとかもしれないわね)
 親の蒸発という事件のせいで焦った私が自分に合った相手ではなく、条件を満たした誰かを探していと気付いたのだろう。そうでなければ辺りを見回し狙ってぶつかりに行っていた私の死角からあのタイミングでぶつかることはできないし、何より私の腕を掴む彼に確かな執着を感じたから。

 彼の唇が頬へと滑り、首筋までさがる。ぢゅっと強く吸われると、ピリッとした鋭い痛みが走り痕が刻まれた。そんな痛みすら愛おしい。

「俺も好きだよ」
「らしいわね」
「他に言い方は?」
「だってさっきも聞いたもの」
 くすくすと笑うと、彼の眉がさがる。そして今度は重ねるだけの口づけをした。

 リチャードの手のひらがするりとさがり、私の足を左右に大きく開く。
「あっ、ちょ……!」
「待たないってさっきも言ったから」
「ひゃっ」
 蜜口を軽く舐めると、いつの間にか溢れてしまっていた愛液を掬うように舌が動く。
「あ、やっ、あぁ……ッ」
 すぼめた舌で浅いところを刺激されると、その度に快感が背中を駆けあがりビクビクと反応した。
「あぁん、リチャードっ、それ、ダメぇ」
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