はわわって言えばなんとかなると思ってた~拗らせ次期宰相からの執愛はウザい!~

最終話.違う話をしようと言ってるの!

「そ、そういや仕事の話は大丈夫だったの」
「仕事の話?」

 流石にリチャードも疲れたのか、それとも何度も意識を飛ばす私にやっと自重を覚えたのか、半分微睡みながら彼の腕枕でうとうととしながら思い出したことを聞く。これ以上抱かれるのが体力的に限界で話を逸らしたわけでない。決して。
「ほら。呼ばれてたじゃない」
 上手く言葉が出ないなりになんとかそう口にすると、どうやら王太子殿下へと挨拶を終えた後リチャードだけが殿下に呼ばれたことだと気付いたらしく、あぁ、と彼が頷いた。

「あー。違うよ、あれは」
「?」
 ははは、と可笑しそうに笑いながらそう言ったリチャードが、この部屋には私たちふたりしかいないにも関わらずまるで内緒話をするように私の耳元で囁いた。
「初恋の女の子を手に入れた感想を聞かれてただけ」
「っ!」
 告げられた言葉に一気に顔が熱くなる。そしてそれと同時に一気に全身から血の気が引いた。
(話を逸らしたつもりだったのに!)
「リ、リチャード。いい? 私はもう限界なの、休みたいの」
「初恋が実るって素晴らしいよね」
「き、聞きなさいリチャー……んんっ」
 しみじみとそんな感想を口にした彼の唇で口を塞がれ、不埒な彼の右手が私の胸を包む。そのままふにゅりと優しく揉まれ、彼の指先が先端を擦った。
 何度も触れられ吸われ続けて快感を教え込まれた体がその快感に耐えられるわけもなくて。
「ひやっ、あぁんっ」
「はは、トレイシーももっとしたいんだね」
「はわ、はわわ、はわわわわ!」
 なんてとんでもない結論を口走ったリチャードの腕の中で、私はまた体を暴かれるのだった。

 ――きっとこれから、何度でも。
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