はわわって言えばなんとかなると思ってた~拗らせ次期宰相からの執愛はウザい!~

2.ターゲットはお前だ!

「ギャッ」
「すっ、すみません!」
 (っとしまった、思わず素で叫んじゃったわ!)
 ハッとした私は、すぐにきゅるんきゅるんな瞳を潤ませながら困り顔を作り、必殺技を繰り出した。
「はわわ~」
(これでさっきの叫び声は相殺でしょ)
 フンッと内心鼻で鳴らしながら、私にぶつかって来た相手をチラリと見上げる。そこには長い前髪であまり顔がわからない、なんというか全体的に薄い令息がいた。金づるになりそうな令息たちは全て頭に叩き込んで来たが、こんな存在感の薄い令息に心当たりはない。「はわわ」の無駄撃ちだったかと思いつつすぐに興味を失った私は、さっさとターゲットを探さねばと再び会場へと視線を戻した。の、だが。
「お怪我は?」
「っ、い、いいえ」
 私を引き留めるために軽く腕を引いた彼の手を振り払おうとしてたのだが、体がビクともしないことに驚き思わず息を呑む。
(思ったより鍛えてるってこと?)
 風で吹き飛びそうに見えていたのに、意外なその事実に少し驚きつつ仕方なく彼へと視線を戻した私は、改めて彼を見てあることに気が付いた。彼の髪が、ラピスラズリのような深い青色だったのだ。
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