僕の10月14日
 
 救急車の着いた病院は、東町中央病院。大きな総合病院だった。
 念のためと言われ、頭のCTスキャンから、手足のレントゲンなどありとあらえる検査をされたが、結局は左手小指の骨折と左手首の捻挫、左足首の骨折だった。しかし、足首の骨折場所がくるぶし付近で、退院までに3週間くらいになるかもしれないと言われた。
 病室のベッドにやっと寝ることが出来た。少し落ち着けるとおもったが、直ぐに警察が来て事情聴取をされた。相変わらず僕は悪者扱いだ。何度も同じ話を繰り返した。

「だから~、蛙が居たんですよ!」


 次の日、今度は女性の警官がやって来た。昨日とは明らかに態度が違う。その女性警は優しい声で、運よくカメラがある通りだったことを話し出した。蛙の存在もしっかり映っていたらしく僕の主張の正当性が立証された。いつもはどこでも監視されているみたいでイャだった防犯カメラだけど、今回だけは感謝した。それにしても警察というのは、なんだか人を犯人にしたいのか警官の言い方が気に食わなかった。昨日僕をあれだけ疑った警官は今日は来ず、この女性警察官をよこしたのだと思うとちょっと笑えた。


 男の子の両親がお詫びに来てくれた。若いけどしっかりした親御さんだった。男の子も一緒に来て、三人で頭を下げて謝ってくれた。男の子は泣きそうな顔をしていて、そんな顔を見せられると早く帰ってくれと思った。僕は何も言わないのに治療費も出してくれてお見舞金もくれた。バイトが出来ないから生活費を心配していたのだけどこれでチョットは助かる。あとは保険会社とのやりとりをすればまた少し手元にお金が入る。

ー バイク・・・キズだけだろうけど・・・直すのにいくらかかるのだろう・・・
ー ところで・・・僕のバイクは今警察にあるのか?・・・


 病院だとおいしくはないが一応三食付きだし、とりあえずのんびりすることにした。しかし、3日もすると病院生活も退屈になって来た。ベッドで毎日リハビリのようなことをちょっとして後は暇だった。
 歩行器を使って歩けるようになると、ベッドの上ではなくリハピリルームでリハビリをすることになった。あとは何も変わらない生活・・・リハビリの帰りに病院の敷地内にあるコンビニに行ってマンガや単行本を買ったりした。歩行器はちょっと恥ずかしいけど少し動けることはうれしかった。
 マンガはあっという間に読み終え、本はなかなか先に進まない。
 当初はバイト先の人がお見舞いに来てくれたが、それも終わった。多分もう来ないだろう。
 僕の実家は九州の久留米で食堂をやっている。一応母親にケガをして入院していることを連絡はしたが、馬鹿だねーと笑われて寝てりゃ治ると言われた。もちろん見舞いに来ることはない。

― あー、暇すぎる・・・
 
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