あたしの愛を受け取りやがれ!〜ひなのと彼女の物語〜

大切にしてたのに……。

このころのひなのは、柚果の配信にもっと行きたいと考えていた。
その気持ちは告白の返事をもらった後から日に日に強くなり、ついには彼女にこんなことを伝えることになった。

「わたし本当は、柚果の配信にめっちゃ行きたいのよ。
でもさ、なんか緊張して、うまく話せないから行けないでいるの。
声とか聞いちゃうと、恥ずかしくなっちゃうから。
本当は柚果のこと、もっと知りたいんだけどね、ど~したらいい?」

この言葉達は、本当は配信に行きたい+でも恥ずかしくて行けない、ということを強調し、さらに、どうしていいか分からない、ということを可愛いらしく伝えようとして選んだ言葉達だった。

特に最後の「ね、ど~したらいい?」というところは、ひなの的にもなかなか可愛い言葉達を選べたと自負していた。
すこ〜し、いや結構、乙女な雰囲気を出せていたと感じたから。
「ひなのって、文才ある~~~!!」と心の声。笑

ねえ、そう思いませんか?みなさん♡服部です。たびたびごめんなさい。笑
話、戻すね~~!

だからさ、きっと、あっちもね!
「嬉しい~!そんなこと言ってくれて♡」な〜んて、可愛らしい返事をくれるのではないだろうか、とひなのは内心わくわくしていたのさ。

「だって~~こんなにも乙女でキュンキュンするセリフを伝えたんだもん♡きっと、あっちからもキュンキュンする返事がもらえるよね??♡」
ひなのの心の中ではやはり、こないだと同じく、数えきれないほどの花火がぶち上がっていた。
だがしかし、柚果の返事は予想外にこんなものだった。
「サシで話すよりは、もっと気楽に配信に来てみない?
配信で会ったからには、配信にも来て欲しいな。他のリスナーに比べて贔屓(ひいき)になっても良くないと思うからさ」
これってまぁ、一言で言えば、ひなのが想像してたものとは違ってたのよ。
想像というか、期待してたもの、と言った方が正しいかもしれない。

だってさ、温度差激しくないか??
ひなのはうっきうき♡で乙女モード全開なのに、柚果からの返事はすご〜く冷静で、ひなののキュン心を完全にスルーしてる感がすごくない?
別に柚果が悪いわけじゃあないし、意図的に選んだ言葉達でないことくらい、ひなのだって分かっていた。だけど、どうしてこんなに悲しいのだろうか……?
そして気づいた。それは、ひなのが送った熱い気持ちをうまくかわされた、そんな気がしてしまっていたからだったのだ。

そしてさらに
「サシでっていうことは通話のことを表すのだろうか。それとも、DMとかも2人っきりだから、だめなんだろうか?」という疑問も生まれた。
だから、ストレートに聞いてみた。
「お疲れ様〜。サシで話すっていうのは、通話のこと?」ってね。
そしたらこんな答え。
「通話もだし、ラインとかDMとかもだね」
これにはひなの、ショックを隠し切れずに泣きそうになってしまったのよ。

だってさ、ひなの的にはラインとかDMするのがすごく嬉しくて楽しいのに、それすらもしちゃいけないの?って。
いや、通話だけならまだ分かるよ?
でも、ラインもDMもってなると、コミュニケーションをとれる手段がな〜んにもなくなるじゃん?すごく楽しみにしていたのに。
なんだか、大切にしていたものを完全に拒否されたように感じてしまった。
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