社長は私が好きらしい
頬に両手を添えられる。見つめられて、吸い込まれそうになる。私の身体は火照っていて、社長のも紅潮しているのが分かった。
「……俺と、付き合ってくれる?」
「……はい」
「本当に?」
「そうです……」
「……ここまで焦らされたのは、初めてだ」
彼はまた、私を強く抱き締めた。
「離さないから。ずっと白咲さんのことが好きだったんだからね」
私は社長の胸の中にいた。彼の心臓の脈打つ音が、とても心地よくて……。
そうして、またキスをした。今度は恋人になった、本当のキスを──。
end.