妹に婚約者を取られ貧乏魔導士との結婚を押し付けられました〜そこから始まる姉の領地改革〜

9 ビッチな妹とバトル!

その日王都からクソビッチのアリアが訪ねてきた。

「あーら、お姉様、すっかりぼろ着がお似合いになって…」

「アリアこそ、段々とケバくなっていくわね。」

アリアの嫌味に嫌味で答える私。
元々姉妹仲は良い方では無い。

私と付き合う男を寝取るのは、昔からアリアの得意技だ。

「しかし、ここじゃ夜会も舞踏会も開けませんわね。
こーんな、ボロ屋敷じゃね。
あら、失礼、ついボロ屋敷なんて言って…」

「……。
何をしに来たのかしら?
目的が分からないわ。」

私はつい本音を言ってしまう。

「あら!
親愛なるお姉様の様子を心配して見にきましたのよ?
旦那様はおでかけですの?」

アリアはキョロキョロと見回す。

ゼルゼディス様は魚釣りに行っている…が、そう言ったら馬鹿にされるに決まっている。
魚釣りなどは庶民の者がする事である。

「えぇ、魔導士だから忙しいんですわ。」

「あら、残念。
ご挨拶したかったわ。」

アリアが言い、私はまたこの女狐にゼルゼディス様を取られるのでは無いか?と急に不安になった。

「エシャロット!
良い魚が釣れましたよ!」

そう言ってバケツを持ったゼルゼディス様が帰ってきた。

「まぁ!
釣りなんて!
漁師のする仕事ですのに!」

アリアは大袈裟に驚いた。
いや、これはほんとうに驚いているのかもしれない…

「ゼルゼディス様は何でも出来るのよ。
王室でのうのうと育ったひ弱な男ではありませんの!」

私は言う。

「ふんっ。
負け惜しみですわね。」

アリア。

「いつ、どこで、何時、何分に、私があなたに負けたのかしら?
あなたは身体を使ってしか愛を得られない可哀想な女よね。」

私は言った。

すると、アリアは私に掴みかかってきた。

「何よ!
カマトト女が!」

「ちょっ、やめてよ!」

その時、ゼルゼディス様がアリアの頬を叩いた。

「私の妻に手を上げる事は許しませんよ?」

にっこりと笑って言うゼルゼディス様。
しかし、その目は笑って居ない。

「なっ…!
平民ごときが王族に手を上げるなんて…!
シャンク様に直訴しますわよ!

あなたはもう宮廷魔導士もクビよっ!」

そう言い残してアリアは帰っていった。

「ふぅ…
やっと帰りましたか。」

ゼルゼディス様。

「ゼルゼディス様…
なんて事を…」

「?
何がです?」

「宮廷魔導士をクビになりますわよ!?」

私は言う。

「えぇ、月に2度王都まで行くのは疲れていた所ですので、問題無いかと…」

「で、でも…」

「あなた1人くらい食べさせていきますから、心配しないで下さい。
それより、魚を捌きますね!」

ゼルゼディス様は凹むそぶりを見せずに、魚を捌き始めた。
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