一輪のバラード

人数合わせで仕方なく合コンに参加することになってしまったが、わたしはもう恋愛をする気はなかった。

今までに数人の男性と付き合ってはきたが、既婚者だということを隠してわたしと付き合っていた男や、給料全てをギャンブルに使い込み、足りなくなるとわたしを夜の店で働かせようとしてきた男や、浮気性の男、わたしに嘘をつき大金を持ち出して姿を眩ませた男、、、そんな奴ばかりだった。

だから、恋愛なんてもう懲り懲り。

わたしは、もう一人でいい。

いや、わたしの唯一の家族、ダックスフントの"マル"と2人で平穏に暮らしていければいい。

そう思っていた。

もうこれ以上、心を擦り減らしてまで誰かと一緒に居る気にはなれない。

どうせ、また裏切られて捨てられるんだから。


「じゃあ、今日の19時からだから!ひかり、一緒に行こうね!」
「はいよー。」

合コンにノリノリの芽衣子と桃華の隣で、わたしはお酒を飲みながらご飯でも食べてればいいや。

そう思いながら、わたしは昼食を終え、午後の業務に戻ったのだった。

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