初恋成就は虹色雲のキセキ ~白馬の騎士は鳥かごの中の小鳥を溺愛する~
はぁ……なんて素敵なお話。
世の中にはいろんな素敵なお話がたくさんあるけど、これは夢のようなお話だから大好きなの。
だって魔女や魔法なんて現実にはありえないものね。
リアリティのある夢のお話は、この現実に希望を持ってしまいそうだから…いらない。
そんな事を考えながら歩いていたら、私の少し前を歩いていた一人の男子生徒が空を見上げていたの。
何かあるのかな?って、つられるように顔を空に向けてみたら、見たこともないキレイな雲があったんだ。
「わぁ!…キレイ……雲が虹色だ…」
何だろう…虹色だけど…虹ではないし…
雲に色がついてるなんて…不思議…
初めて見るあまりの綺麗さに呆けていたら、聞こえてきたの。
「あれは彩雲(さいうん)てゆーの。〝彩りの雲〞って書いて彩雲」
って。
その声がした前方を見ると、少し前にいた男子はまさかの徳永くんで…
お日様に照らされたその優しい笑顔と佇まいに、胸がキュン!と疼いた。