初恋成就は虹色雲のキセキ ~白馬の騎士は鳥かごの中の小鳥を溺愛する~
「ちょっ、ちょーっと待ったぁー!」
いきなり男性の大きな声と共に、ホールの扉がバーン!と開いた。
えっ!? なっ、なに!?
とそちらを見ると、会場に現れたのは晶人さんだった。
「晶人さん…?」
するとダダダダッとこちらへ駆け寄り、徳永くんの隣に来た。
そして…
「まっ麻里亜!婚約の話はうやむやになったけど……俺と結婚してくれ!…いや、結婚してください!」
と言うと、徳永くんがした様に、右手を差し出してきた。
えっ…えぇえ!?
何で晶人さんが!?
っていうか、私と結婚したくないんだよね!?
…どういうこと!?
軽くパニックになっていると、私から少し離れたところにいる両親の会話が聞こえてきた。
「既視感のある光景ね」
「昔テレビでこんなのやってたよな。合コンみたいな番組だったか」
「あぁ、それだわ。懐かしいわね。それよりも、まさか直に〝ちょっと待ったコール〞が聞けるなんて、嬉しいわぁ、うふふ」
「しかも、それを言われたのが私達の娘とはね。さすが祥子に似て美人だからなぁ」
お父さん…お母さん…
娘が二人の男性からプロポーズされているというのに、何その軽いテンション…
と呆れを感じるくらい冷静になりつつも、晶人さんが来たこともあり、何も言い出せない私に、二人が同時に更に頭を下げた。
「「お願いします!」」
え……本当にどうしたらいいの?
私が……決めてもいいの?
それがわからなくてお父さんを見ると、私の言いたいことがわかったみたい。
「今まですまなかったね。もう麻里亜は自分で決めていいんだよ」
そう優しく言ってくれた。
だから私は、愛する人の手を取る前に…一つの答えを出した。