初恋成就は虹色雲のキセキ ~白馬の騎士は鳥かごの中の小鳥を溺愛する~
二人で腰を上げると、お父さんが「そうそう」と話し出した。
「麻里亜は粗相のないようにな。昔レストランでお芋を掴めなくて落とした事があっただろう?あの時は丸い芋がコロコロと床を転がって可笑しくってなぁ、ははは」
「お父さん!そんな子供の頃の話をいつまでも言わないで!もうそんなヘマはしません!」
「ははっ、麻里亜は芋なんだ。俺に比べたらかわいいもんだよ。俺、床にハンバーグ落としたもん」
「ふふっ、そうなの?」
「うん。それで、手で拾ってフィンガーボウルで洗ってそのまま食べたら、父さんが『豪快だなー』って笑ってさ。あ、小さい時だからね」
「ハハハ、確かに徳永さんなら叱らずに笑ってくれそうだね」
「はい。腹こわすなよ、とは言われましたけど」
「あはは、寛容で素敵なお父様だね。…じゃあ、お父さん、お母さん、行ってきます」
「あぁ、真宙くんと楽しんでおいで」
「行ってらっしゃい。今度私達も食べに行かせてね」
と笑顔の両親に見送られながら、私達はレストランへと出発した。