初恋成就は虹色雲のキセキ ~白馬の騎士は鳥かごの中の小鳥を溺愛する~
「さぁ、いよいよ挙式本番ですよ!真宙さん、麻里亜さん、楽しんでくださいね!」
「ふふっ、はい!」
北見さんに満面の笑みで返すと、真宙が私の後頭部を撫でた。
「ん?」
今度は真宙に笑みを返すと、真宙が優しく笑った。
「麻里亜。今日も、そしてこれからも、ずっと一緒に、幸せの道を、ゆっくり楽しみながら歩いていこうな」
「うん!…きっと平坦な道だけではないと思うけど、真宙となら、ずっと一緒に幸せを感じながら歩いていけるって信じてるから!」
「麻里亜……ありがとう。本当に愛してるよ」
私の言葉に優しい笑顔を返してくれた真宙を見上げた時、バックに広がるどこまでも澄んだ青い空に浮かぶ1つの雲が目が止まった。
「あ!」
「ん?どうした?空に何かあった…?…あ!」
私の様子に真宙も空を見上げると、すぐに気付いたのか声を上げた。
その真宙につられる様に北見さんも空を見上げると、感動の声を上げた。
「何かあるんですか?…あっ……わあぁ…とっても綺麗な雲ですね!…まるで虹が溶け込んでるみたい…」
「あれは彩雲て言うんですよ」
「さいうん、ですか?」
「はい、彩りの雲と書いて〝彩雲〞て言うんです。って、私も真宙に教えてもらったんですけどね、高校生の時に」
「そうだったよな。…ほんと、麻里亜と俺の人生は彩雲に導かれたと言ってもいいもんな」
「ふふ、ほんとにそうだよね」
「あっ!それで結婚証明書の皆さんの承認プレートが雲形のオーロラカラーなんですね!」
「そうなんです。打ち合わせの時に初めてあのプレートの見本品を見た時に〝コレだ!〞って思って、ふふ」
「だよな、俺もそう思ったもん」
「…本当にオーロラカラーみたいなんですね…はぁ…綺麗……って!すみません、もう挙式が始まるというのに私ってば」
「いえ、見入っちゃうお気持ちはすごくわかりますし、同じ様に思ってもらえて嬉しいです、ふふっ」
いつも落ち着いている北見さんの慌てように、少しだけ緊張がほぐれた。