初恋成就は虹色雲のキセキ ~白馬の騎士は鳥かごの中の小鳥を溺愛する~
──そして、特別仲良くなることもなく、私達は卒業式を迎えた。
下校の時間になっても徳永くんは同級生や後輩に囲まれていて、やっぱり人気者なんだなぁ…と、私はいつも通り遠巻きに見るだけだった。
私もエリコと別れがたくて残ってお話ししてたけど…そろそろ時間だし帰らないと。
どのみち告白なんてできないし、徳永くんともここでお別れ…だね…
さようなら、徳永くん。
…私の初恋。
素敵な想い出をありがとう。
優しくて誠実なあなたが大好きでした。
そう遠くない将来、徳永薬品を継ぐあなたを遠くから応援しているね。
そう心の中で呟いて…
想い出をそっと胸の内にしまった。
「エリコ、そろそろ帰ろっか」
気持ちを切り替え、スマホを見てるエリコに声をかけると、申し訳なさそうに手を合わせてきた。
「麻里亜ゴメン!ユータが迎えに来るって今連絡来たぁ…仕事の都合がついたからって…」
「そうなんだ、全然いいよ。ふふ、間に合って良かったじゃない。…じゃあエリコがこっちを離れる前にまた会おうね」
「ありがとぉ麻里亜、また連絡するし!気をつけて帰ってね!」
「うん、ありがとう。それじゃあまたね」
エリコに手を振ると、私は一人で生徒玄関へと向かった。