初恋成就は虹色雲のキセキ ～白馬の騎士は鳥かごの中の小鳥を溺愛する～

…３年間通ったこの道もこれで最後か…

入学式の日、最初はエリコが声をかけてくれたんだよね。
話してみたらエリコも同じ中学出身の人がいなくて、２人で「同じ境遇の人がいてよかった」って笑いあったっけ。


一人で帰ることも多かったけど、一人でいることは嫌いじゃないの。
誰にも邪魔されずに好きなことを考えられるから。


…そう言えば、徳永くんとお話ししたあの夏の時も一人で帰ってたっけ。



彩雲かぁ…

あれからたまに空を見上げてるんだけど、まだ一度も見られてないんだよね。

今日こそ見られないかな、せっかくの卒業式なんだし。

と軽い気持ちで空を見上げてみたら…


「…えっ、あった！ほんとに彩雲だぁ！」

すごい偶然！

「やっぱりキレイだなぁ…何かいいことあるのかも」


なんて…
あるわけないよね、こんな私なんかに。


って自嘲していたら…


「栗原さんっ！」


…私を呼ぶ声がした。