初恋成就は虹色雲のキセキ ~白馬の騎士は鳥かごの中の小鳥を溺愛する~
「え?…え、徳永くん?…どうしたの?」
後ろから聞こえたから振り返ると、もう横に来ていたのは徳永くんだった。
「どうした?って、帰るんだけど」
「だって、あれ?一人?お友達とかいっぱいいたよね?」
さっきまで楽しく話してたよね?
「何で知ってるの?」
あっ…見てたってバレちゃう!
えぇと…
「だって、徳永くん目立ってたから、人集りができてて。人気者だなぁって思って見てた。ふふっ」
実際そうだったんだけど、何とか苦しくない言い訳にできたかな。
「…そっか。あっ、一緒に帰ろ?」
一緒に……って…私と!?
「お友達はいいの?」
「うん。もう解散したから。じゃあ一緒に帰ろ」
「あ、うん…」
でもほんとにいいのかな…
こんな大事な日に私なんかが一緒で…
と、何だか申し訳なくて少し躊躇していると、徳永くんがちょっとだけ膨れた顔で言ったの。
「何か僕がいるの迷惑そうなんだけど」
…ふふふ、かわいい。
なんて思ったら失礼だね。
でもこんな風に気を遣わせまいとしてくれるところもほんとに素敵だな。
…って、それよりちゃんと違うって答えなきゃ!
「そんなことないよ!…ただ男の子と話すのが慣れてなくて、面白い話とかもできないからつまんないだろうなって…」
自分で言ってて情けないと思うけど、それは事実だし…と自嘲気味に説明。
でも、そんな私に笑いかけて言ってくれたの。
「そんなこと気にしなくていいのに。この前、栗原さんと話したの、僕は楽しかったよ」
って。…本当に優しいね。
「あ、ありがとう。…徳永くんが人気あるの、わかるなぁ」
「そんなことないと思うけど、その言葉は嬉しいな。ありがとう」
「いえいえ…」
徳永くんの優しい笑顔を心に刻む。
絶対に消せない想い出フォルダに入れておこう。