初恋成就は虹色雲のキセキ ~白馬の騎士は鳥かごの中の小鳥を溺愛する~
──私はやっぱり他愛のない話題や相づちを打つくらいしかできなかったけど、徳永くんが話を膨らませてくれたおかげで、笑いながら楽しく話せた。
うん、最後にいい想い出が増えたね。
あぁ…駅が見えてきた。
夢のような時間もそろそろおしまい。
徳永くんとも、ほんとのほんとにここでお別れなんだね…
もうお話しすることも…見ることすらできなくなる現実に、急に寂しさで胸がきゅうっと締め付けられた。
最後になんて言おう…
やっぱり「今までありがとう」だよね。
未来に希望が見えない私に『王子様』であり『白馬の騎士』として最高のキラキラの想い出を与えてくれたんだもん。
そろそろサヨナラを言わなきゃ…って思いながら駅に近づくと、徳永くんがいきなり私の手を取り、立ち止まった。
え…えっ!? 手を握られてる!?
ていうか…見たことのない真剣な顔の徳永くんに、胸が痛いほどドキドキする。
「栗原さんは彼氏いるの?」
「えぇっ?いない!いない!」
反射的に、まさか!と言わんばかりに手と首をぶんぶんと振った。
そう言ってしまってから、あ…そういえば……と、そこで晶人さんの存在を思い出した。
晶人さんは『許嫁』だとは言われているけど『彼氏』ではないんだよね?
いや、『彼氏』扱いになるのかな…?
そんなことを考えていたら、徳永くんがまっすぐに私を見て言った。
「あのさ、僕と付き合ってくれないかな」