初恋成就は虹色雲のキセキ ~白馬の騎士は鳥かごの中の小鳥を溺愛する~

え…?

「え?え?徳永くん?」

どどどういうこと?


「僕、栗原さんのこと、1年の時から好きだったんだ。でも栗原さん、男子と話さないし、傘を貸した後も声かけたら逃げられると思ってなかなか話しかけられなくて。でもあの夏の…彩雲見た日に話すことができて嬉しかったんだ。大学は別になるけど…もっと栗原さんと一緒にいたくて」



これは……夢…?

世の中に…こんな嬉しい現実なんてあるの…?


でも……

でも……私は……



「徳永くん……ごめんなさい…お付き合いはできないの」

「どうして?僕が嫌い?」

まさか!

「ううん、徳永くんは素敵な人だよ!…でも…お付き合いはできなくて…」

「その理由って聞いてもいい?」

「…ごめんなさい…それは…言えなくて…」

言いたいけど…
言ってしまいたいけど…

言えなくて…

ごめんなさい…


「…そっか、わかった。彼氏になれなかったのはすっごい残念だけど、想いを伝えられてよかった。ありがとう。栗原さんは僕の青春時代を素敵に彩ってくれた大切な人だから、どこかで会ったらまた話そうよ」


ねっ!て明るく言ってくれる徳永くんがやっぱり大好きで……

こんな私を好きになってくれた事が嬉しくて……


だからその分、余計に悲しくて……



「ありがとう、徳永くん…」


苦しくて……

涙が止まらない……




「ゴメン、泣かせちゃった…」


「ううん、徳永くんのせいじゃないの…ありがとう」


私も徳永くんが好きなの……


でも言っちゃだめ……


だって…

嬉しい現実は…

悲しい結末にしかならない…から…




あぁ…

全部話してしまいたい…

付き合えない理由も…

徳永くんが好きな事も…



でも…

やっぱりどうしても言えなくて…


涙が…止まらない…



「あーっゴメン!」

その言葉と共に、私はふわりと抱きしめられた。

「好きなコに泣かれると弱いなー…」


…徳永くんに抱き締めてもらえるなんて夢みたい…

でも…困らせてるよね…


「徳永くん…ごめんね…ごめんなさい…」

「いや、これは役得だと思ってるから気にしないで」

本当にいい人だね…
大好きだよ、徳永くん…


このまま…時間が止まってくれたらいいのに…

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