初恋成就は虹色雲のキセキ ~白馬の騎士は鳥かごの中の小鳥を溺愛する~
…それから少し落ち着くと、徳永くんの腕の中から身を起こした。
「ごめんね、急に泣いちゃって。もう大丈夫だから」
「うん…僕が嫌われてるんじゃなくてよかった。それだけでも嬉しいよ」
「嫌うだなんてそんな!私だって徳永くんのこと」
「え?」
「…あっ、ごめん何でもない」
危ない…言っちゃうとこだった…
「僕のこと、何?」
また真面目な顔になった徳永くんに両腕を捕まれ、ドキッとした。
「ううん、ごめんね、何でもないの、今の忘れて」
「栗原さん、もしかして」
あぁ…気付かれちゃったかな…
でもお願い、徳永くん…
このままお別れさせて…
「ありがとう、徳永くん。私も話せて嬉しかったよ。またどこかで会えるといいね。それじゃあ」
また涙が溢れそうになるのを堪えながら、足早に徳永くんから離れて駅へ向かった。