初恋成就は虹色雲のキセキ ~白馬の騎士は鳥かごの中の小鳥を溺愛する~

それから校内で見かける度に目で追ってると、可愛いだけじゃなくて、優しくてすごくいい子ってのがわかってって、何かすごい嬉しかったし、どんどん好きになっていった。

意味もなく2組の前を通ったり、辞書を借りるのに同じ部活の2組の男子のとこに行ったりもしたけど、仲良くなるどころか知り合いになるのも難しくて。

クラスが違うと話す機会なんて全くないし、しかも『男子が苦手らしい』という情報も入ってきて、なかなか近づく術がなかった。


そんな時!
玄関で雨宿りしてる栗原さんを発見!
これはまたとないチャンス!

だから、俺は持ってたビニール傘を差し出したんだ。


最初すごい怪しまれたっぽいけど、押し付ける様に無理やり貸した。
あ、余計怪しいヤツじゃん。


あー!返さなくていいって言っちゃった俺のバカバカ!
返してもらう約束すれば名前も名乗れてまた話せたのに!

あー…カッコつけなきゃよかった。


と後悔した通り、やっぱりその後は栗原さんから声をかけられることもなく、俺はただただ遠くから眺めるだけだった。


そんな片想いのさなか、高3の夏にちょっとした転機が訪れたんだ。

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