初恋成就は虹色雲のキセキ ~白馬の騎士は鳥かごの中の小鳥を溺愛する~
bar 〔iridescent clouds〕
「先ほどは大変失礼いたしました」
案内されたカウンターの席に座り、再度頭を下げて謝罪。
お店に着いて早々、ホントに恥ずかしい事してしまった…
「いえ、こっちこそ驚かせてしまってすみません」
わ、カッコいいのに癒し系の笑顔…
少し長めのセンターパートの前髪が、男らしくもキュートな二重の爽やかフェイスにとても似合っている。
あっ、この方がいつ居るか分からないという、若い眼鏡イケメンのマスターさんかな?
トレードマークというお髭も無いし。
「…あの、思いっきり頭がぶつかったと思うのですが、大丈夫ですか?おケガしてませんか?」
「あはは、あれくらいじゃ何ともないですよ」
「そうですか…それならよかったです」
ケガしてなくてよかった…ホッ
「この店は初めてですか?」
「はい。京都には旅行で来てるんです。それでホテルのスタッフの方にお勧めのお店だと聞いて」
「それはありがとうございます。へぇ、旅行?一人旅ですか?あぁ、お話の前に何かお作りしましょう」
「そうですね、じゃあフルーティで甘めのものをお願いします」
「かしこまりました」
秘書課の同僚と行くバーでバーテンダーさんがシェーカーを振る姿は幾度となく見ているけど、この人の、スマート且つおしゃれに手際よくカクテルを作る姿から目が離せないでいた。
いや……目が離せなかった理由はそれだけじゃないけど。