初恋成就は虹色雲のキセキ ~白馬の騎士は鳥かごの中の小鳥を溺愛する~
「麻里亜さん?…大丈夫ですか?」
「ん……あ、あれっ?寝ちゃった!?…ごめんなさい!ご迷惑をおかけしてしまって…」
「いえ、それより体は大丈夫ですか?悪酔いしてない?」
「はい、平気です。…昼間に張り切って歩いてたから疲れが出ちゃったのかも」
「そう、それならいいけど」
「今何時だろう…え、もう10時!?ごめんなさい!こんなにお店で寝ちゃうなんて…」
「いえ、気にしないで。俺は麻里亜さんの寝顔が見れてラッキーでしたから」
マジでそう思ってる。
…そんな俺の言葉に目を丸くしてるのも可愛いな。
「…ふふ、マスターさんもモテそうですよね。人を喜ばせるのがとてもお上手で」
「俺も、っていうのは?」
「その徳永くんもそうだったんですよね。お話ししてるとさりげなく褒める様な事を言ってくれたりして…すごく楽しくて嬉しかったな…。男子と話すのが苦手だった私が、もっとお話ししたいと思うくらい」
「話したいと思うのは、好きだったからじゃないの?」
「…ふふ、そうですね」
「麻里亜さんは…今でもその彼のことを好きなの?」
「…本当は諦めていなきゃダメなのに…忘れられなくて…」
「好きなんだ」
「はい……あ、でもどうなんだろう…10年近く会ってないし、昔の想い出を引きずってるだけなのかも知れないけど…」
「その彼に会いたい?」
「…んー…会いたい…けど……結婚してて幸せそうな彼を見るのは…今の私には辛いかな…」
「そう…」
「あ、ごめんなさい、一人でお喋りしちゃって。…もう遅いですし、そろそろお暇しますね」
「お店は大丈夫ですよ、他にお客さんもいませんし。麻里亜さんがよければもう少しお話ししませんか?」
「でもそんな…申し訳ないですから」
「俺は麻里亜さんともっとお話ししたいな」
「…え?」
「…俺はまだ一緒にいたいけど…迷惑?」
「………」
あ、栗原さんが固まってる…
ヤベ、強気で迫りすぎたかな。
「…ごめんなさい、無理言いましたね」
「いっ、いえ!あの…ごめんなさい…私、そういう風に言われる事に慣れてなくて、びっくりしちゃって」
「…そうでしたか。じゃあもう少しだけいてくれませんか?お店としてはもう閉めてますから」
「…いいんですか?」
「えぇ、ぜひ」
「ありがとうございます。それじゃあお言葉に甘えて」
「あぁ、よかった…」
思わず本心が漏れた。