初恋成就は虹色雲のキセキ ~白馬の騎士は鳥かごの中の小鳥を溺愛する~
部屋に戻り、俺は知人の久保(くぼ)さんに電話した。
「久保さん、仕事を頼みたいんだけど。大至急案件」
『おう、徳永じゃん。また急だな、ハハハ。まったく、知り合いだからってみんな急な仕事ばかり持ち込むんだもんな』
「他にも急ぎで頼む人がいたんですか?」
『あぁ、大学ん時のダチも久しぶりに電話してきたと思ったら大至急とか言ってさ。ま、そんだけ頼りにされてるって事だし、素直に嬉しいけどな。じゃあ詳しく聞かせてもらうから都合のつく日時を教えてくれ』
「わかりました、今日中に連絡します」
『了解、それじゃ』
…よし、麻里亜のことは久保さんに頼むとして…
って、すっかり真那のこと忘れてた。
連絡するっつってたのに来てないし。
…しょうがない、電話してみるか。
「真那?今いいか?」
『まったくもー、あんた何してんのよ』
「それはこっちのセリフだっての。ったくよー…」
『なによ』
「やっと麻里亜を捕まえたってのに、お前のせいで誤解されたじゃねーか」
『え?マリアって…もしかして栗原麻里亜さん…?』
「そーだよ、その麻里亜だよ。ほんとに偶然店に来て……で家に連れてきたってのに…」
『えっ…えー!? 会ったの!? って連れ込んだのは麻里亜さんだったの!? …まさか、もうヤったとか言う…』
「…悪いか」
『や、スゴいじゃん真宙!やるときゃやるじゃん!あんたも男だったんだね!』
「なんだよそれ。つーかそんな話はいいんだよ。そうじゃなくて、さっきお前を彼女だと思ったのか、俺がシャワーしてる間にメモ残して出てったんだよ!」
『え!…それは……ゴメン……』
「……や…悪い、言い過ぎた。…俺も麻里亜に真那のこと話してなかったからな。…とりあえず知り合いに麻里亜の周辺を探ってもらうことにしたけど」
『そっか、なら私も協力するよ』
「あぁサンキュ…それで真那にも話しておきたいんだけど、うちに来れるか?外では話しにくいんだ」
『おっけ、これからそっち行くね』
「あぁ、悪いな」
…麻里亜、待ってろよ。
俺が絶対に自由にしてやるからな!
それで、俺のところに来いよ!