初恋成就は虹色雲のキセキ ~白馬の騎士は鳥かごの中の小鳥を溺愛する~

想い出を胸に…


…徳永くんのお部屋を出たものの、そこがどこだかわからなくて、スマホで現在位置情報を見ながら交通量の多い通りに出ると、そこからタクシーを使って何とかホテルに戻ることができた。


さっきシャワーしたばかりだけど、ひとまず落ち着きたくて、今度はバスタブにお湯を張ってゆっくりと浸かる。


……ふぅ……

途中のコンビニで買った発泡タイプの入浴剤のシュワシュワに、身体と気持ちが少しずつほぐれていくと、自然と昨日の事が思い出された。



お店のマスターさんが徳永くんで…

知らずに全部喋っちゃって…

キスされて…

おうちに一緒に行って…



抱かれた……

私が……

徳永くんに……


わわ…
今になって急にドキドキしてきた!


そうだよ…

私、身体もいろいろ触られて、全部見られちゃった。

自分でもそんな風に触ったことがないところを…

触られて…

口付けられて…


うわぁ……恥ずかしい!


あの時はお酒の力と勢いもあったけど、徳永くんの男らしい身体と色気を孕んだ眼差しに理性を奪われてしまってたから、恥ずかしいって気持ちは薄れてた…



キスも…

身体に触れられるのも…

全てが初めての感覚で…


徳永くんが私の中に入ってきた時は…

痛くて、でもそれ以上に嬉しくて…

気持ちよくて…

愛してる、って切ない声で囁かれて…


私の心の奥にあった、女としての感情が溢れ出てきて、初めて解放された気がしたの。



私は徳永くんを『真宙』と呼んで、たくさん「好き」って言った。
それは、ずっとずっと、卒業式のあの時から言いたかった言葉。


そして「愛しい」「愛してる」とも言った。
それは、新しい気持ちの言葉。



でも…これで最後。


私が「愛しい」と思うのは……

「愛してる」を使うのは……



徳永くんが、最初で最後。


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