初恋成就は虹色雲のキセキ ~白馬の騎士は鳥かごの中の小鳥を溺愛する~
その日の夜、父さんに電話を掛けようと思っていたところに、逆に父さんから電話が掛かってきた。
…何だろう、珍しいな。
「父さん?どうしたの?」
『あぁ、真宙、夜分に悪いな。お前と真那に話しておきたい事があるんだが、早い内に時間は取れるか?来週中だとありがたいが』
「今なら仕事も落ち着いてるし俺達は融通も利くから、たぶんいつでも大丈夫だと思うけど…何?何かあったの?」
『あぁ、お前も知ってる栗原製薬さんなんだがな』
「え!栗原製薬がどうかしたのか?」
まさかここで父さんからその言葉が出てくるとは思わずびっくりした。
『まぁ長くなるから会って話したいんだ』
なるほど…これは何かあるな…
「わかった。…実は俺も父さんに相談したい事があったんだよ、栗原製薬のことで」
『何?お前が栗原製薬のことで?…お前は特に関わってなかったよな?本社でも…』
「あぁ。父さんの話とは別件だと思う、100%仕事の話、という訳ではないから」
『そうか……ならそれも会った時に聞こう。いやぁ、お前からの相談だなんて珍しい事だからなぁ、何でかわからんが、その話がどんなもんかワクワクしてきたなぁ!ハハハ』
「…や、父さんにとってワクワクの話かはわからないよ?」
『いや、いいんだ、お前が頼ってくれるのが嬉しいだけだ、親としてな。OKを出せるかは分からないが、相談は前向きに聞くから安心しろ』
「…ありがとう。じゃ、父さんの時間取れる日時を教えてくれよ。それからこっちで都合つけるから」
『あぁ、わかった。では明日にでも連絡しよう』
「了解、待ってる」
最後は父さんの機嫌の良さそうな鼻歌が聞こえて、通話を終えた。
…はぁ、なんか緊張するな、父さんに言うの。
でも、俺の決意は変わらないし、もう揺るがないから。
だから…麻里亜、待ってろよ。