初恋成就は虹色雲のキセキ ~白馬の騎士は鳥かごの中の小鳥を溺愛する~
──あれは3年生の夏の日の放課後のこと。
「…じゃあ部活もないし、私は先に帰るね」
「麻里亜、今日って何か用事とかあったの?一緒にコスメ見てもらいたかったんだけどなー」
「あれ?用事があるのはエリコでしょ?今日は委員会があるって言ってたよね?遅くなりそうだからユータくんとデートできないとかって言ってた気がするけど…」
「あーっ忘れてた!そうだ、委員会だった!ヤバ、もう時間だし!麻里亜、教えてくれてありがと!じゃ行ってくるね!バイバイ!」
「あはは、忘れてたんだ。また明日ね」
勢いよく教室を出ていったエリコを廊下で見送った私は、一人で生徒玄関を出ると最寄駅への道を歩きながら、大好きな本のお話を思い出していた。