初恋成就は虹色雲のキセキ ~白馬の騎士は鳥かごの中の小鳥を溺愛する~
「…そう…やっぱりね。旅行から帰ってきた麻里亜がどこか違うと思ったのよ」

「ごめんなさい……お父さんとの約束を破って…」

「ふふ、いいのよ。麻里亜ももう大人の女性だもの。お父さんにはもちろん、他の誰にも言わないわ。お母さんは麻里亜の味方よ」

「…お母さん…」

一番身近な存在である母にその様に言われると、ずっとギュッと引き締めていた気持ちが急に緩み、涙が溢れてきた。


「ごめんなさいは私の方よ。…もっと早く私が決断していれば、今ごろは麻里亜も好きな人と結婚できてたのに…」

「いいの、お母さん。私は高校に入った時からそれは承知しているから」


それに…
徳永くんは徳永薬品の御曹司だもの…
同業者の娘との結婚なんて許される訳がない。


「それよりお母さん、離婚なんて…どうして?」

その質問に、お母さんはダージリンティーを一口啜るとカップを置いて話し出した。

「…それはね、簡単に言えばお父さんの長年に渡る浮気よ」

「え…」

「でもただの浮気ではないの。…長くなるけど、とても大事な話だからしっかりと聞いてちょうだいね」

「…うん、わかった」

私ももうアラサーの大人なんだから、お母さんの意思をしっかり受け止めないとね。
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