初恋成就は虹色雲のキセキ ~白馬の騎士は鳥かごの中の小鳥を溺愛する~
「お父さんが、私の父…麻里亜のおじいちゃんから会社を受け継いだ途端、業績が落ちて…その時に助けてくれたのがヒラクボファーマの前社長の善次郎さんなのは麻里亜も知ってるわよね」
「うん、もちろん」
「その時の約束を勝手に変えたのが今の平久保社長…倫靖さんなの」
「約束って?」
「…善次郎さんは父と懇意にしていてね、娘である私もとてもお世話になったわ。…仕事には真面目で厳しかった様だけど、とても優しい方だったのよ。麻里亜がちっちゃい時もかわいがって下さってね」
「うん、何となく覚えてるよ、ヒラクボの優しいおじいちゃんって」
「…助けて下さった時も、うちを乗っ取るとかそんな話は一切なくて、それまでの関係のまま協力しあって共に成長していこうと仰って下さったわ。上下関係を作るよりも結果的に伸びるからと。…だから特に協定とか業務提携のような形も取らずにいたんだけど…」
「うん」
「善次郎さんが亡くなって社長が倫靖さんに代替わりすると、うちと業務提携するという話に変わったの。しかもいつの間にかお父さんとの間でそれがうちの買収に変わっていたわ」
「ば…買収!?…そんな……お父さんは最初に反対しなかったの?」
お母さんは、ふ…と一息吐いて話し出した。
「…麻里亜にこんな話をするのは本当は良くない事だけど…もう大人だし…許してね。……倫靖さんはお父さんにお金を渡した上……女の人をあてがったのよ」
「女の人…?」
「つまり愛人ね」
「あ、愛人!?」
現実でそんな言葉を聞くとは思わなかった。
しかもそれが自分の父が関わっているだなんて…
「…私には内緒のつもりみたいだけど知っていたわ、最初の頃からね。そして今も続いていることも」
「今も、って…本当に…?あのお父さんが浮気とか愛人だなんて…ちょっと信じられないけど…」
「今も…たまにその彼女を連れて倫靖さんの所へ行っているわ。人目を避ける様に、長い髪の女性を隠しながらね」
「そんな…」
「…その上、倫靖さんの息子さん…晶人さんが麻里亜と歳が近いからと勝手に許嫁にしたのよ。…これは倫靖さんとお父さん、どちらが言い出したのかはわからないけど……麻里亜がお嫁に行けば、両社の結びつきが強くなると思ったんでしょう、簡単には切れない間柄になると」
「何それ……そもそも栗原のおじいちゃんはお母さんの父親で……お父さんは栗原家のお婿さんなのに……それなのに……お母さんの事も…私の事も…ただの駒としてしか見てなかったってこと…?」
もしそれが本当なら…もうお父さんなんて呼びたくない…
「それでね、ここからが私達の打開策になるかもしれない話なの」
「打開策…?」
「えぇ、麻里亜もお母さんも苦しまなくて済むかもしれない話」
まさか……
そんな…夢みたいな話があるの…?
「うん、もちろん」
「その時の約束を勝手に変えたのが今の平久保社長…倫靖さんなの」
「約束って?」
「…善次郎さんは父と懇意にしていてね、娘である私もとてもお世話になったわ。…仕事には真面目で厳しかった様だけど、とても優しい方だったのよ。麻里亜がちっちゃい時もかわいがって下さってね」
「うん、何となく覚えてるよ、ヒラクボの優しいおじいちゃんって」
「…助けて下さった時も、うちを乗っ取るとかそんな話は一切なくて、それまでの関係のまま協力しあって共に成長していこうと仰って下さったわ。上下関係を作るよりも結果的に伸びるからと。…だから特に協定とか業務提携のような形も取らずにいたんだけど…」
「うん」
「善次郎さんが亡くなって社長が倫靖さんに代替わりすると、うちと業務提携するという話に変わったの。しかもいつの間にかお父さんとの間でそれがうちの買収に変わっていたわ」
「ば…買収!?…そんな……お父さんは最初に反対しなかったの?」
お母さんは、ふ…と一息吐いて話し出した。
「…麻里亜にこんな話をするのは本当は良くない事だけど…もう大人だし…許してね。……倫靖さんはお父さんにお金を渡した上……女の人をあてがったのよ」
「女の人…?」
「つまり愛人ね」
「あ、愛人!?」
現実でそんな言葉を聞くとは思わなかった。
しかもそれが自分の父が関わっているだなんて…
「…私には内緒のつもりみたいだけど知っていたわ、最初の頃からね。そして今も続いていることも」
「今も、って…本当に…?あのお父さんが浮気とか愛人だなんて…ちょっと信じられないけど…」
「今も…たまにその彼女を連れて倫靖さんの所へ行っているわ。人目を避ける様に、長い髪の女性を隠しながらね」
「そんな…」
「…その上、倫靖さんの息子さん…晶人さんが麻里亜と歳が近いからと勝手に許嫁にしたのよ。…これは倫靖さんとお父さん、どちらが言い出したのかはわからないけど……麻里亜がお嫁に行けば、両社の結びつきが強くなると思ったんでしょう、簡単には切れない間柄になると」
「何それ……そもそも栗原のおじいちゃんはお母さんの父親で……お父さんは栗原家のお婿さんなのに……それなのに……お母さんの事も…私の事も…ただの駒としてしか見てなかったってこと…?」
もしそれが本当なら…もうお父さんなんて呼びたくない…
「それでね、ここからが私達の打開策になるかもしれない話なの」
「打開策…?」
「えぇ、麻里亜もお母さんも苦しまなくて済むかもしれない話」
まさか……
そんな…夢みたいな話があるの…?